○ はじめに
西山: 2017年もプロ野球が開幕しました!今年はWBCもありセンバツの熱戦もありで盛り上がっておりますが、野球フリークの皆様方はいかがお過ごしでしょうか?
伊藤: ・・・・
香川: 西山先生、今年春の香川県高校野球ビッグサプライズが抜けていますよ!
西山: も、もしかして香川県高校野球界で“栄養費”とか“コンニャク”とかそっち系の・・・
香川: 違いますよ!そちら側に持っていかないでください!
西山: こんな手をした学校関係の事件が確か国会のど真ん中で・・・
香川: なんですかその手は?スライダーの握りですか?
大島: 中国銀行玉島支店伊藤支店長の母校である香川県立三本松高校が、春の香川県大会で優勝したんです!
西山: なんとスミマセン支店長!おめでとうございます!!
伊藤: イヤイヤイヤ、そんなそんな・・・
西山: さっそく支店長にお話をきかせていただきましょう!
○ 2017年 香川県校野球春季大会 三本松高校優勝
西山: 伊藤支店長!特任コーチか何かで出場されたんですか!?
伊藤: まさか(笑)。この写真は2009年のマスターズ甲子園に出場した時の入場行進です。ユニフォームは現役時代のものですよ。
大島:次期監督候補ということで(笑)。あらためまして支店長、優勝おめでとうございます!
伊藤: イヤイヤ。春の優勝なんてそれほど意味はないですよ。春季大会は甲子園云々よりも、むしろ新戦力を試す機会なのですから。
香川: ちなみにうちの母校の丸高(丸亀高校)は一回戦で敗退でした(泣)。
伊藤: 私の高校時代でも、春の大会は2番手3番手の投手、野手、思い出作りという感じでした。
3年前も春の大会で優勝したものの、夏の予選では早々と負けてしまいましたしね。
ただ、そうは言っても後輩の活躍は故郷を思い出させてくれますので、素直に嬉しいです。
大島: 野球一筋スパルタン高校がひしめく中、県立高校の優勝はスゴイことです。
三本松高校さんは、練習なり戦略なりで、何か工夫をされているんでしょうか?
伊藤: そうですね~ 私の野球部の2年後輩が、地元で中学生の硬式のチームを作り指導しています。その中から何名かは母校に進学し、活躍しています。
香川: おー、やっぱり中学生からの教育が大事なんですね。
伊藤: でも三本松だけでなく高松商業へも選手が進学しているので、何で地元に行かないの?っていう素朴かつ寂しい気持ちもあります。
大島: せっかく地元で教えているのに・・・というさみしさですよね。うちの病院でもある話です(涙)
〇 “体育会系”列伝
西山: 最近の青少年のスポーツ環境は、私たち昭和世代とはいろんな意味でずいぶん変わってきてますよね。
大島: 我々の頃とは全然違うと思います。平成になって30年近く経ちますもんね。
西山: ところで香川先生。先生研修医のころ先輩の先生に大変 “かわいがって” いただいた、というのは本当ですか?
香川: そうですね。先輩の持ち患者が3人で私が30人、ボディーブローやナガブチキック・・・先生、何を言わせるんですか!
まあ私が研修医のときは、そんな理不尽体育会系が当たり前でしたね。
大島: スポーツだけではなくて普通に学校でも、連帯責任全員往復ビンタとかありましたもんね。
西山: やはり黒田選手世代は壮絶な野球人生ですね~
大島: 支店長が三本松野球部現役のときは、5000本ノックとか、空気椅子とか、うさぎ跳び1キロとか普通にあったんですか?
伊藤: 当時の高校野球はまだ理不尽なシゴキがありました。しかし三本松高校はありませんでした。これは本当です。
香川: えっ!シゴキが無かったんですか?それは当時としては画期的、というか珍しかったのではないでしょうか?
伊藤: ある程度の規律は必要ですが、理不尽なシゴキはやはり良くないですよね。
西山: しかし、最近は本当にスポーツ環境やトレーニング方法も変化してきました。
香川: 食事や筋トレがかなり科学的になってきていますよね。その結果基礎体力作りにおいては間違いなく飛躍的に進歩してますよね。何より体がデカいでしょ。
伊藤: スピードや飛距離など昔と比べれば明らかに全体のレベルが上がっていると思いますね。
西山: 確かに。灼熱の屋根に正座しても、野球上手になるはずないですよね。ダメですよね。
大島: 私は玉島高校ラグビー部なんですが、ラグビーなんかはいまだに“魔法の水”と言ってヤカンの水ぶっかけて気合入れたりしますね。
西山: ラグビーは独特だと思いますが、その中でも目黒高校ラグビー部は体育会系の伝説ですね!
香川: これって昭和50年代の話ですよね。スゴイ・・・
西山: 玉島高校ラグビー部といえば、こないだ花園出場のお知らせが病院に来ていましたけど。
事務長さん、玉島高校ラグビー部を創設されたってホントですか?
大島: いや~じつは私の学年から始めたんですが、OB会とかにはほとんど参加していないんです。
玉高は昨年末花園に行ったんですが、石川の高校に見事に砕け散りました。
香川: 事務長!ドンマイです!!
大島: 最近、サッカーではクーバーコーチングといって、オランダの育成法を取り入れ成果をあげられているようなこともあるようです。基本の動きを何パターンか徹底的に反復練習し、それをつなげることで一流プレーヤーの動きが出来る、というものです。
西山: 非常に理論的な指導方法ですね。シゴキと対局ですね。
大島: 最近のスポーツ指導法は昔の見て学べとか、指導者ごとの理論や指導力のばらつきなどは減ってきており、指導法が成熟された感があります。インターネット等の情報社会も相まって、ハイレベルなラインで画一化されてきていますね。
西山: 最近整形の外来で小学生の子なんか見ると、ものすごくスポーツに積極的なんですよ。
“上手になるから頑張りたい”という、すごくポジティブなものを感じます。
香川: 僕たちの時は、いかに仮病使おうか?とか、基本後向きでしたもんね。練習量はこなしてましたけど。
西山: 私は中学高校柔道部でしたが、“柔道部物語”というマンガが流行っていて、良く読んでいました。
こんなの今の部活だと怒られるだろうな~
香川: 勧誘の“ダマし”は定番でしたよね。
西山: 私もJ恵医大水泳部の勧誘時、“トランクス履いて健康維持の泳ぎでいいから”と言われ入部したら、ガチでブーメランパンツの競泳でした。
大島: ぉお~。見事な“ダマし”ですね!
香川: ギャハハ!グラビア撮影と言われだんだん脱がされていく新人アイドルみたいですね!!
西山: もちろんブーメランパンツで終わりですよ。ヒモパンはありません(笑)。
今考えると競泳であることは当たり前なんですけどね。最初は何も知らないじゃないですか。
しかも、先輩の顔つきが勧誘時と全然違うんですよ!“逃げ出したらJ恵医大でメシ食えなくしてやる!”みたいな・・・
ボク岡山から東京出てきたばっかりでしたし・・・
大島: でも先生方のお話や柔道部物語でも、黒田伝説やや松尾伝説からすればまだまだぬるいかもしれないですね。
西山: ・・・事務長。言いにくいんですが、我々40台前半の運動部世代は、たんなる“後ろ向きなドM”なだけなのでは・・・
伊藤: それは言いすぎですよ先生!社会に出れば理不尽なことが多いのですから、そういった荒波への忍耐力、辛抱は絶対に必要です!
大島: 最近の若いコはすぐ“傷つけられました”ですもんね・・・
香川: たしかに。なんぼなんでも打たれ弱すぎるだろうと。
伊藤: わかりますわかります。現場で御苦労されているんですね(涙)。
大島: また練習が効率的・画一的になった反面、野茂秀雄、村田兆治のような超個性的な選手は少なくなってきたのは残念ですね。
香川: “味”が無くなる・・・そこが難しいところですよね。
○ 高校野球と少子化 県立高校の受難
伊藤: 今回の選抜を見てて感じた事は、ベスト8に県立高校が皆無なんです。
選手名鑑で出身(ボーイズ、シニアなど)を見ると、21世紀枠の学校はともかく、私立高校のベンチ入りメンバーは大部分がボーイズなどの出身者で占められてます。
(以前)
中学軟式 ⇨ 高校硬式が王道で軟式出身者にもチャンスあり
(現在)
中学ボーイズ ⇨ 高校硬式が主流になり高校入学時から即戦力となる
香川: もう中学の時からコイツはという子を硬式で鍛えていないと勝てないんですね。
伊藤: 全国的に高校の定員は減っています。三本松高校もほかの県立高校との合併、統合もあるかも知れません。そうなると、良い選手を田舎でも取り合いになるのではと危惧しております。
大島: いずれにしても少数精鋭で育てていかないといけないのですね。
伊藤: 近年は学校経営自体が厳しくなって来ています。何かアピールする工夫をしないと厳しいと思います。
大島: 大阪桐蔭 早稲田実業 智弁和歌山あたりは、高校野球の知名度ブランドイメージに活用されているようです。たくさんの学生さんが入学を希望する事で学校の偏差値も上昇傾向で、相乗的に好循環となっているようです。
伊藤: 桐蔭さんなんかは特進コースを設け、東大京大阪大バンバン行ってますよ。
西山: なるほど!私立高校は野球で知名度を上げ、特進コースで偏差値も上げて経営の好循環を図っているんですね。
大島: 戦略的に野球部を強くするところもあるようですが・・・私は一回甲子園に出て以後は弱いみたいな高校も見ていて面白いし、応援したいです。
香川: 母校の丸亀高校の定員は1991年当時は1学年450人でしたが現在はたしか280人です。純粋に部員数の低下、そしてチームの強化には明らかにマイナスの要素です。普通科しかない公立高校にはさらにハンデになると思います。
西山: 丸亀高校さんと大阪桐蔭高校の違いは、丸亀高校さんは“文武両道”すなわち勉強も運動も頑張る、というポリシーであるのに対し、大阪桐蔭高校は野球組は野球で甲子園を目指し、勉強組は勉強で東大京大阪大を目指し、おたがいに学校の知名度を上げよう、という“文武分業”の考え方ですね。
香川: そんな中でも、高松商業の長尾健司監督のように、この高校のこの監督の下で野球がやりたい!といった流れができてほしいなと思います。
大島: 愛校心が心打たれますよね。
香川: ちなみにこの4月からの超レア情報なのですが、三本松高校で以前春の優勝に導いた桑嶋監督が丸亀高校に着任し、野球部監督に就任しました。桑嶋監督は中学野球の後輩でもあり、丸亀高校野球部OBでもあります。
西山: ついに丸高OBが野球監督に就任したんですね!
香川: 桑嶋監督ですが、いったんは教員以外の道を進んでいましたが、高校野球の指導を行いたい!との思いで教員になった男です。ぜひ彼に頑張っていただきたいです!
西山: じゃあ今度、桑嶋監督に丸高野球部への熱い思いをインタビューしましょう!
大島: いいですね~ “私の履歴書 I’m back MARUKOU!!”なんかどうでしょうか。
香川: やめてください!初年度でプレッシャーかかっているんですから!
○ あらためて 高校野球への思い
西山: 最後に、みなさんに高校野球についての思いを語っていただきましょう。
伊藤: 私の三本松高校野球部時代は、ガムシャラに甲子園だけを夢見ていました。その後の人生なんて何にも考えずに朝から晩まで野球でした。プロ野球ニュースを見ながら、晩御飯を食べるって日々を過ごしてました。練習は辛く毎日帰宅は23時を過ぎてました。でも甲子園に行くんだ!と純粋につらい練習に耐えていました。振り返ると何て純粋だったんだろうと思います。
香川: 私も丸亀高校時代、自分で言うのも何ですが一生懸命部活やっていましたね。頑張りました。
西山: 伊藤支店長と香川先生に共通するところは、自分の中の純粋なモノと野球とを重ね合わせているところだと思います。お二人の“人生の基盤”ですね。
伊藤: 県立高校の限界を述べつつも、やっぱり母校愛は香川先生にも負けません。大甲子園で校歌を泣きながら大声で歌いたいです。
西山: 香川先生はいかがですか?
香川: 今の家の近くに香川県営野球場があり、高校球児の練習や試合を見ます。時折その周辺を犬の散歩などをしていると、丸亀高校野球部員から気持ちの良い挨拶をしてもらいます。
大島: 母校愛、野球愛をくすぐる最高のシチュエーションですね。
香川: 公立高校の彼らが誰に強制されるでなく、勉強時間も削り純粋な気持ちで野球をしている姿を見ると余計に応援したくなりますね。
西山: “文武両道”で頑張れ丸高!優勝したら桑嶋監督胴上げだ!
香川: 香川県の高校野球はレベルが接近しています。三本松高校や、丸亀高校などの公立高校にも甲子園のチャンスはあります。県大会決勝が丸亀対三本松(1993年がこのカードでした)なんて日がまたくるといいなぁと思います。
大島: もし丸亀高校が県大会の決勝に出るようなことがあれば、武先生が有休OKかも、と言っておられましたよ。
香川: とーぜん、サボ・・・じゃなく、応援にいかせていただきます。
伊藤: さすが玉島第一、いやプライムホスピタルはいい病院だ!
西山: 皆様、このたびもローカルトークありがとうございました!