みなさまこんにちは。プライムホスピタル院長の西山武です。
昨年は平成最後の年でした。一年をしめくくる漢字が“災”であったことが示すように、昨年は本当に信じられないくらいたくさんの災害が続きました。
みなさまも大変であったかと存じ上げます。被災現場の復興は大変ですが、気持ちを新たにして頑張ってまいりましょう!
今回は、“痛み”についてお話をさせていただきます。
みなさん、インフルエンザのワクチンは受けられましたか?
筋骨隆々の男の方で、よほど怖いのでしょうか、半泣きでピクピク震えながら注射を受けられる方がおられました。
ちょっとチクッとしただけで“い、痛い~!!”
すさまじいリアクションです。
でもこのリアクションは、科学的に証明されるものなのです。
後で説明しますね。
〇 そもそもなんで“痛み”なんてあるの?
私たちを悩ませる“痛み”・・・どうして、人間は痛みを感じるのでしょうか。
答えは簡単です。痛みは体の危険を知らせるサイン、“危険信号”なのです。
危険信号がなければ、例えば怪我をしても気付かず放置して感染して死んでしまうかもしれません。
つまり、痛みは、動物の意識される感覚、センサーとして必要なものなのです。
〇 天気や体調によって痛みが違う どうして?
みなさん、足腰の痛みが日によって結構違うことってありませんでしょうか。
じめじめした日は関節痛が・・・風邪を引いたので節々が痛い・・・
そうです。私たちにとって必要な痛みというセンサーは、困ったことに感じ方にばらつきがあり、日によっては必要な感じる量を超えることがあるのです。
〇 耐えられる痛みと耐えられない痛みがあるのですが・・・
昔私の知り合いに、ボクシング日本チャンピオンがいました。歴戦で瞼と鼻がつぶれ、拳が変形していました。
そんな体育会系男子の粋のような人が、ある日病院の点滴注射で“気絶”してしまったそうです。
なぜボコボコに殴られても平気な方が、注射の針で気絶してしまうほど痛いのでしょうか。
人間の脳は、“意識”される部分と“無意識”の領域があります。
痛みは“意識”として感じられる感覚ですが、近年この“意識”の部分に、“無意識”の信号が大きく関わっていることが明らかになってきました。
〇 恐怖、不安は痛みを増悪させる
“怖い”“不安”という感情人間の無意識の領域で蓄積されます。脳のすごく深い部分、大脳辺縁系という部分です。
この大脳辺縁系にある“扁桃体”は、恐怖や不安をインプットすると、大脳皮質に働きかけて痛みを強くすることが最近の研究でわかってきました。
逆に、興奮や楽しさは、痛みを和らげます。
先のボクシング元日本チャンピオンは、試合はハイテンションで楽しいので痛みを感じず、注射は怖いので痛みが何倍も感じられたのですね。
〇 整形外科の痛み治療の役割
痛みを主訴に整形外科の外来に患者様が来られます。 私が痛みに悩まれる方にできることは、鎮痛薬を乱発することではありません。
まず痛みの原因を調査し、しっかり説明し、病態を患者様にご理解いただくことだと思っています。
原因を知ることで、少し不安が解消されると思います。 少しでもホッとしていただければ、それだけでも痛みは軽減されるのです。
そして適切な鎮痛を行いながら、楽しく運動できる形を作っていければ最高です。
“slow,long,enjoy”と言いますが、ゆっくり長く楽しくできる運動が望ましいです。
西山剛史先生提唱の“しん新体操”もこつこつできるよい体操だと思います。
〇 さいごに
痛みについて、ご理解いただけましたでしょうか。
痛みで困っている方がおられましたら、遠慮なく当院整形外科に相談してくださいね。
“先生!おかげで肩の痛みは取れましたが、いろいろあって今度は心が痛いです”
昨年そういう青年がおられましたが、うーん心の痛みはちょっと・・・女性と別れたのかな?
みなさん、前を向いて明るく頑張っていきましょう!