世の中で“冤罪”、が話題である。
冤罪とは、“無実の罪”を意味する言葉である。
家庭、職場、交友関係・・・
みなさんも、”無実の罪”を疑わたことは、無いだろうか。
私は高校時代、まさに”無実の罪”を疑わた事が、ある。
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それは岡山高校で、部活帰りの寮で起きた。
寮の玄関で寮監のS石先生に、“西山、チョット来い。”と寮監室へ。
“座れ。”
当然、正座、である。
“お前がそういう奴とは思わんかったぞ!
西山、わかるよな!!”
・・・・・・・・・・・・え?
何の事でしょう!?
“お前、タバコ吸っただろ!
お前の体からヤニの匂いがプンプンするぞ!!”
ええっ!?
さっき柔道の練習終わったばっかりですよ!
ボコボコに投げられて、やっと寮に戻ってきたんです!!
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私は、頭の中が真っ白になった。
ちなみにS石先生、元日体大柔道部、ガチンコ格闘家である。
言葉ではとても表現できない、ものすごい“圧力”である。
俺、吸ってないけど・・・
でもS石先生に生返事で否定すると、命が無いような気がした。
全身汗だく、意識もだんだん遠のくような気が・・・
私は、この突然の圧力から開放されたい衝動に駆られた。
“虚偽自白”・・・つまり、“吸いました”と、罪を認めてしまいそうになったのである!!
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ここで、同じく寮監のA福先生が、戻ってこられた。
A福先生と、S石先生が、神妙に話をされている。
30秒くらいの時間が経過しただろうか。
“ほわっ”とした空気感に、なった。
(この“ほわっ”と感が、忘れられません)
実はこの日、A福先生に柔道の稽古をつけていただいていたのである。
A福先生のタバコの匂いが、私の柔道着と体に残っていたようなのだ。
S石先生、再度私の柔道着をクンクン。
今思うと、“体育会系小芝居”である。
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“お~西山・・・立て。(ニヤリx2)
ヨシ!帰っていいぞ!!”
日体大、天理大ご出身の2大寮監に笑顔で見送られながら、
“あ、どうも~”
全身汗だくで寮監室を出たのである。
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“冤罪”の多くは、“虚偽自白”を経ての再審が多いそうである。
虚偽の自白は悪いです。
でもみなさん、言葉にならない“圧力”に、耐えられますか?
S石先生、マジ怖かった・・・
冤罪で苦しんだ方、大変だったかと存じ上げます。
俺には(ちょっとだけ)、その苦しみが、分かるかも!
でも世の中無実の罪をかぶせた側って、“え、そんだけ?”っていう謝罪感ですよね。
もうちょっとちゃんと謝ってくださいよ!
“S石先生、ちゃんと謝罪してくださいよ!”
私は、タイムマシンであの現場に戻っても・・・
絶対に言えないのである。
しょぼいぜ、俺。(おしまい)