先日、兄の西山 成(あきら)が、イルカの論文を上梓しました。
当院も画像協力で協賛させていただきました。
(写真左です)
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研究の背景と概要:
• 水族館で飼育されているイルカは適切な管理によって寿命が伸びており、高齢化社会を迎えようとしています。その結果、人間と同様に腎臓病の悪化から死亡に至る例がしばしば報告されるようになってきました。しかし、高齢のイルカが何故腎臓病を発症するのかについては、原因は全くわかっておらず、診断法や予防・治療法もありません。
• 今回、心臓病が原因で死亡した高齢の飼育イルカの腎臓を解析したところ、血液検査では腎機能が正常であったにもかかわらず、腎臓に激しい石灰化が生じていることが見出されました。そして、腎臓の石灰化組織を詳細に分析したところ、主な成分がリン酸カルシウムであるハイドロキシアパタイトで構成されていることが明らかとなりました。
• 腎尿細管の細胞を使用した研究では、リンはカルシプロテイン粒子(CPPs)と呼ばれる細かい粒子を作って細胞を石灰化して傷害することが明らかとなりました。一方、このようなリンによるCPPs形成を介した尿細管細胞の障害は、マグネシウムの投与によって、一部軽減されることが示されました。ハイドロキシアパタイトは、ヒトをはじめとする脊椎動物の骨や歯の主要な構成成分ですが、尿路結石の原因にもなる物質です。
成果と意義:
本研究は、飼育下のイルカの高齢化に伴い生じる腎臓病は、リンが原因となる石灰化によって生じていることを、オールジャパンの研究チームによって世界で初めて明らかにしたものであります。本研究によって、イルカの高齢化に伴う腎臓病の病態メカニズムの一端が明らかとなり、マグネシウムの投与によって軽減される可能性が示されたことから、未来の予防や診断治療法の開発につながるものであると考えられます。
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ちょっとだけ、イルカについて調べてみました。
飼育されているイルカの寿命は、7-10年くらいだそうです。
心臓が元気なのに、突然死する事例が多く、腎臓病(リン酸カルシウム沈着)が要因であることが、最近わかってきているんだそうです。
腎石灰化による急性腎不全が治療できれば、イルカのみならず他のペット動物にも応用できるかもしれませんね。